トップメッセージと決算解説
このページでは、トップメッセージと
決算の背景をもとに、今後の戦略を解説しています。
時代の変化にあわせて
進化する、継続的な変革を
時代の変化にあわせて
進化する、
継続的な変革を
平素より、格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
2026年1月、当社は設立70周年という節目を迎えました。これもひとえに、永年にわたり当社を支えてくださったお取引先の皆さま、株主の皆さまをはじめとする、すべてのステークホルダーの皆さまのご支援の賜物であり、心より感謝申し上げます。
当期は、売上高こそ堅調な推移を維持したものの、人材育成や提案力強化に向けた先行投資を積極的に進めたことにより、利益面では当初の見込みを下回り、下方修正に至りました。
これは、短期的な収益の確保よりも、中長期的に持続可能な成長を実現するための事業構造転換を優先した判断によるもので、次期以降の収益回復、ひいては企業価値の向上につながるものと捉えています。
私たちは、環境変化を前提とした経営のもと、継続的な変革を通じて事業の質を高め、小売の課題解決において真に頼られるパートナーであり続けることを目指し、その志を、次の10年、その先へとつないでまいります。
今後とも、変わらぬご理解とご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
2026年6月
代表取締役社長
中前 圭司
トップインタビュー
小売の課題解決のパートナーとして、
選ばれ続ける存在であるために。
小売の課題解決のパートナーとして、選ばれ続ける存在であるために。
当期(2026年3月期)の事業環境と業績の概要を教えてください。
売上は一定成長も、利益は先行投資を伴う成長痛。
販促効果の選別が進む中、取引構造の転換を進めました。
販促効果の選別が進む中、取引構造の転換を進めました。
当事業年度におけるわが国の経済は、貿易摩擦や地政学リスクの高まりなどを背景に、不確実性の高い状況が継続しました。個人消費においては、実質賃金のマイナスが続く中で節約・低価格志向が進む一方、資産の集中や株高を背景とした高級·プレミアム志向も見られ、消費の二極化が進展しました。
こうした環境のもと、当社の主要顧客である小売業界では、販促投資を効果の見込める施策に絞り込む動きが一段と強まり、費用対効果や業務効率をより重視する姿勢が継続しています。販促分野でも、成果創出を前提とした提案や、データ活用を踏まえた実行力の高い支援へのニーズが高まっています。
このような環境下、当社は小売課題解決型ビジネスヘの構造転換を進めました。売上面では、近年取引を開始した大手小売企業における案件の稼働が本格化し、一定の成長を維持しました。その中でも、主要顧客においては、マーケティング設計や課題整理の段階から踏み込んだコンサルティング提案に移行し、取引の質と継続性が高まりました。その結果、売上高は99憶67 百万円となりました。一方、原材料価格や外注費の高止まり、人事施策に伴う人件費の増加が影響し、営業利益は2億15百万円となり、成長痛を伴う一年となりました。
あえて「やらなかったこと」と、「やり続けたこと」は何でしょうか。
短期の数字合わせは選ばず、人への投資は止めませんでした。
こうした環境下で、短期的な利益を取りにいく選択肢もありましたが、あえて取らない判断をしました。粗利が低く、量を増やすことだけを目的とした仕事には戻りませんでした。また、どんな状況であっても止めなかったのが、人への投資です。厳しい環境下だからこそ、提案型・課題解決型の支援に必要な人づくりを続けることが、将来の競争力につながると判断しました。次世代の育成にも継続して取り組み、厳しい人材環境にある中、15名の新卒社員を迎えることができました。現在、20代社員は全体の約2割を占め、提案業務の担い手として現場に加わっています。
人への投資を続けた理由と、その成果について教えてください。
顧客体験価値を高めるための人材投資が、提案・サービスの質を押し上げ始めています。
変化の激しい時代において、小売業を取り巻く課題は多様化・複雑化しています。
当期は、その環境下に対応するスキルや視点を補うため、採用と育成の両面で人材投資を強化しました。あわせて、賃金ベースアップや休日数の増加など、職場環境の整備も進めています。その成果は、提案の質やプロセスの変化として表れ始めています。制作物を起点とするのではなく、顧客課題や購買体験を起点に考える姿勢が社内に広がり、部門を横断した提案や、実行から改善までを見据えた支援につながるケースが増えました。
その一例が、当社初となるリテールテック2026への出展です。デジタルチラシ「買適ミッケ!」を中心に、商圏分析や来店効果測定、販促業務DXを組み合わせ、小売企業の売上拡大と業務改善を、来場したお客様にご提案することができました。一方、これらの人材投資は短期的に利益として回収できるものではありません。当期は、サービス品質と顧客体験価値を高めるための基盤を整える「仕込みの年」であったと捉えています。
進行中の構造転換、その現状をどう見ていますか。
人材投資の成果は現場に現れ始めた一方、組織やマネジメントの整備は途上にあります。
外側、つまり顧客への提案は確実に変わってきました。
制作から始まる仕事ではなく、課題整理やマーケティング設計から入る提案が増え、売上上位顧客の多くが包括的なコンサルティング提案へと移行しています。
一方で、組織やマネジメントといった内側の構造については、まだ底上げには至っていません。営業や提案にばらつきが残っており、誰が担当しても同じ水準で課題解決型の提案ができる状態には、なお時間を要します。
当期は、外が先に変わり、内が追いつこうとしている状態でした。
発展途上にある内側の構造が、業績に与えた影響はありましたか。
再現性構築に時間を要し、そのコストが業績に影響しました。
提案型ビジネスでは、課題を正確に捉え、施策を設計・実行する力を組織として再現する必要があり、その仕組みづくりには一定の時間を要します。
そのため、当期は、人材投資や開発投資と並行して、提案プロセスや役割分担の見直しを進め、それらのコストが業績に影響しました。ただし、この過程を省略すれば、構造転換は定着しないと考えています。
当期は、この基盤の再整備に重点を置き、組織や業務プロセスの見直しに取り組んできました。
中期経営計画SPX2027で、数値目標を取り下げた判断について教えて下さい。
後退ではなく、変化の速い環境で“実行の質”を高めるための判断です。
数値目標を取り下げたのは、成長への意思を弱めたからではありません。変化のスピードが速い環境下で、中期経営計画で示した固定的な数値を追い続けることが、実行の質を下げるリスクがあると判断しました。
そのため、単年度ごとの実行と検証を継続的に行い、進捗と意思決定の精度を高める運営へと切り替えました。方向性や重点戦略、人材投資の方針は変えていません。変えたのは、管理と検証のやり方です。
翌期に向けた重点をどこに置きますか。
課題解決型提案を、組織として定着させることです。
最も重視しているのは、マネジメントカの強化と、SPXサイクル(P5参照)の確立です。仮説の立案から、施策の実行、効果検証、測定・改善までを一連の流れとして捉え、コンサルティングや課題解決型提案を、個々の力量に依存せず、組織として安定的に回せる状態を目指します。
そのために、提案プロセスの共通化や部門横断での連携強化に加え、データやAlの活用による再現性の向上を進め、これまで十分に提案できていなかったクライアントに対しても、よりスピード感をもって課題解決型提案を展開できる体制を整えています。当期に蒔いた種を土台に、翌期以降は成果として刈り取っていく段階へ進んでいきます。
配当について教えてください。
安定配当を維持し、成長投資との両立を図ります。
当社は、株主の皆様への安定的かつ継続的な利益還元を重視しています。配当につきましては、中長期的な業績見通しと財務基盤を総合的に勘案し、昨年と同額の40円といたしました。配当性向は前期に比べて上昇していますが、これは利益の一時的な減少によるものであり、当社の株主還元方針に変更はありません。今後も、収益力の強化を図りつつ、業績動向や財務状況を踏まえながら、安定配当の継続と還元の充実に努めてまいります。
株主•投資家の皆さまへメッセージをお願いします。
長期にわたって保有いただける企業を目指し、利益成長に取り組みます。
当期は、数字だけを見ると厳しい一年でした。しかし当社にとっては、目先の利益を追うのではなく、変化の時代において次の成長につながる課題解決力を磨き、その土台を整える一年でもありました。
この判断が正しかったかどうか、これからの成果で明確に示せるよう、投資と回収のサイクルを着実に回し、収益性の回復と成長の両立を図ってまいります。中長期的な視点で、当社の進化と取り組みを見守っていただけましたら幸いです。